企画1

ふくしま・つかさ

ふくしま・つかさ

◎1947年生まれ。広島大学大学院博士課程植物学専攻修了。理学博士。千葉大学助手、東京農工大学助教授を経て、現在、東京農工大学大学院教授。2006年より大学教育センター長を兼務。著書に『森の不思議 森のしくみ』(家の光協会)、『図説 日本の植生』、『植生管理学』(共に共著、朝倉書店)など

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 1/12 次ページ

東京農工大学 大学教育センター・センター長 福嶋 司

“MORE SENSE”の実現を目指し
農・工学の実学を重視した基礎教育を確立

東京農工大学の「大学教育センター」は、同大学の理念実現のために全学的な視点に立った教育の改善の必要性から、2004年に設立された。
学内の「教育改善支援プログラム」の運営やFD活動などを通して各部局とのコミュニケーションを強化し全学的・組織的な教育改善につながるように努めている。

「大学教育センター」設立の経緯と学内での位置付け

 本学は農学と工学、その融合分野を併せ持つ理科系の大学である。建学は1874(明治7)年。現在、学部に4124人が学び、3つの研究科からなる大学院では1990人が学んでいる。
 2000年度に学長の諮問機関として教育体制検討委員会が設置され、本学の理念として「農学と工学の科学技術系領域を基本として、人類の生存と繁栄と美しい地球の持続を実現するための教育研究の推進」(使命志向型教育研究“MORE SENSE”)が掲げられた。これにより、問題解決型、体験重視の教育が行われることになった。
 2003年度には、全学計画評価委員会教育部会が中期目標・中期計画として、「農学および工学の実学を重視した大学にふさわしい基礎教育を確立すること」を掲げた。これがトップダウンによる教育改革の流れである。
 一方、本学には実践型の実学教育・基礎教育の伝統があり、各学部・学科においてボトムアップ型の教育改善の流れがあった。この2つの流れを結び付け、全学的な意識の共有を図ろうとして設置されたのが「大学教育センター(以下、センター)」である。また、大学院部局化に伴い、研究に偏らず、教育の質の向上と保証を期待する底流もあった。
 当センターは2004年に発足した。本学の理念“MORE SENSE”の追求には、全学的な視野に立った教育体制の整備、特に、現在の科学技術の発展に対応した大学院基軸大学として、高度な教育を実現し、学部・大学院の教育の継続性および整合性を図り、国際性と学際性を備えた教育研究を行うことが必要である。加えて、全学的な視点から教育および学生の受け入れに関して研究・企画・調整を行い、アドミッションポリシーに合う入学者を選抜することも重要である。それらの重要な課題に迅速かつ適切に対応するには専門性が必要であるため、それぞれ専門的に調査・研究・提案を行う「教育プログラム部門」「アドミッション部門」「教育評価・FD部門」の3部門を設置した。

 Mission Oriented Research and Education giving Synergy in Endeavors toward a Sustainable Earth の略称

  PAGE 1/12 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ