企画1

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「大学教育開発・支援センター」の役割と位置付け

 教育改善の主体は「学部・研究科」であり、当センターはそれを支援するという全学的な合意がある。また、全学の教養教育は1997年から「全学共通カリキュラム」(以下、全カリ)として実施され、教員組織の「全カリ運営センター」と事務組織の「全カリ事務室」が支えている。現行のカリキュラムの実施に伴う教学的な諸問題、特に制度的整備などは、全学委員会である「全学教務委員会」で審議を行っている。従って、当センターは、これらの実施組織を支援するコンサルタント的な役割を担う。特に、教員評価とは一線を画し、教育改善だけを目指す部署であることを明確にしている。
 これを周知させるため、2004年11月に当センター最初のシンポジウム「立教大学における導入教育の意味と必要性」を開催した。今日の大学教育にとって緊急な課題でありながら、これまで本学では組織的に取り組んでこなかった教育改革から始めた。これは、教員に抵抗感を持たせないで当センターの取り組みの認知度を高め、協力者を増やすという戦略の一環として行ったものである。
 さらに、学部・学科単位で行われている学内の実質的な導入教育の成功事例を発掘し、共有化のために情報発信することにした。その具体化の一つとして、2005年1月に「『導入教育』に関するワークショップ」を開催した。同年3月には「中教審答申を戦略的に読む」というワークショップを行い、設立初年度の半年間で学内での認知度を高めることができた。
 当センターの業務は、「基盤業務」と「プロジェクト型事業」に大別できる。基盤業務としては、(1)「導入教育」(2007年度からは「初年次教育」)の研究および全学への発信、(2)大学教育一般および本学の教育に関する学内外の情報収集、(3)教員、学部・学科、研究科、事務部局などからの要請に応じた情報提供、(4)情報の共有化のためのシンポジウム、セミナー、ワークショップの開催、ウェブサイトによる学内教員の取り組みの紹介、大学教育開発研究シリーズの出版物やニューズレター『MOVE』の発行など、を行う。さらに、他大学の視察も情報収集として行っている。
 プロジェクト型事業は、次のように進められる。センター会議で、学部・研究科などからの要請、あるいは当センター独自の判断により、随時、情報収集・調査・分析をして、運営委員会にプロジェクトを提案する。承認が得られたら、企画を決定してプロジェクトを設置する。プロジェクト実施後は、センター会議を経由して運営委員会に報告される。
 主要なプロジェクトは、「学生によるアンケート調査」の開発・実施・分析・報告を行う「授業評価・カリキュラム評価」プロジェクトだ。2004年度から毎年実施されている授業評価アンケートは、個々の教員の授業力の向上に貢献している。さらに、カリキュラムと学習環境を調査するアンケートを2006年11月に実施し、有益な情報を得ることができた。また、「オリエンテーション行事検討」プロジェクトの成果によって、4月初旬に行われるオリエンテーションを系統的な行事に、2006年4月から変更した。「インターンシップ」や「学生意識追跡調査」等のプロジェクトも実施し、成果を挙げている。
 これまで、立教大学における教学改善に関する全学的な審議は、当センターに関わる場合は「運営委員会」で、それ以外の事項は「部長会」で審議する、という状況で、組織的な整備が遅れていた。そこで、2007年6月、総長を委員長とし、部長会と重なる全学的な「教学改革推進会議」を組織して、センター会議の機能を吸収することを決定した。立教大学の教育改革の基本方針を全学レベルで一元的に審議して決定し評価するこの体制の今後の成果が期待される。

 詳細は立教大学ウェブサイト(http://www.rikkyo.ac.jp/grp/cdshe/1center_gaiyou/index.html)参照(2007年9月現在)

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