学生同士の交流が活発になり
新たな大学文化を創生する

　共立女子大学は、2006年度に八王子と神田一ツ橋に分かれていたキャンパスを神田一ツ橋に集中させることにした。もともと八王子キャンパスでは、家政学部・文芸学部の１・２年次、国際文化学部（2007年度に国際学部に再編）の１〜４年次の授業が行われていた（図１）。これらの学部を順次移転させ、神田一ツ橋キャンパスで全学部全学年の授業を行うようにするという一大プロジェクトである。
　キャンパスの集中化計画について、共立女子学園の平井真事務局長・総合企画室長は次のように話す。
　「本プロジェクトは、昨今のキャンパス都心回帰の流れに乗って生まれた計画ではない。臨時的定員増の解消や少子化による入学定員の漸減の影響により、長期的な財務計画を立てながら教育の質を担保していくには、ヒト・モノ・カネ・情報などの資源を集中させる必要があった。本学で以前から練られてきた将来構想の根幹である『組織再編・教養教育の一元化・教育方法の改善』を実現させるためにも、２つあるキャンパスを１つのキャンパスに集約することが必要条件となった」
　神田一ツ橋キャンパス集中化によるメリットは多い。教育面では、教育課程の編成、学生の履修方法の弾力化、学部の枠を超えた教養教育、学生個人の希望に合わせた科目選択などが挙げられる。学生にとっては、先輩・後輩間の人間関係や学部を超えた交流がスムーズになり、コミュニケーションの機会が増大することが利点といえる。教職員については、キャンパス間の移動時間がなくなるため、教育サービスの質の向上が期待できる。また、事務機能の効率化も望める。
　デメリットとしては、八王子キャンパスの広大な土地と豊かな自然を離れるため、教育環境の変化や、神田一ツ橋キャンパスの学生の人口密度が高くなることなどが挙げられた。しかし、全入時代を迎え、大学の魅力を高めるために、キャンパス集中化は欠かせないと判断したのだ。