企画2

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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学生の活発な課外活動で地域と深く結び付く

  授業を通して公益の精神を身に付けた多くの学生が、課外活動で地域に溶け込み、貢献しているのも、東北公益文科大学の特徴だ。
 学生のパワーに期待して、地域からアルバイトやボランティア、祭りやイベントへの参加など、募集の声が掛かることが多い。その募集を告知する場として、学内のカフェテリアの前には「市民から学生へ・学生から市民へ」という掲示板がある(写真1)。掲示板を見て興味を持った学生がボランティアなどに参加するという形態で、まさに地域のニーズと学生の「地域に貢献したい」という思いをマッチさせる場となっている。
 また、同大学には、地域との交流を図るための様々なサークルがある。
 「酒田育成チャレンジチーム」は、警察や地域住民と連携し、少年の非行防止や健全育成を目的とする活動を主としたボランティアグループだ。「飛島ふぁんクラブ」は、飛島の島民とミーティングを重ねながら、漂着ゴミ問題の解決に取り組み、島の貴重な自然を調査し、パンフレットを作製して、飛島の魅力を発信している。

図表

写真1 地域から学生に向けての情報が集まる掲示板。祭りやイベントのほか、ボランティア募集などの告知が多い。地域の人々の学生に対する期待の大きさがうかがえる

 そのほか、同大学の学生の発案により、まちづくりに力を注ぐ学生が全国から集まり、それぞれが取り組むまちづくりについて発表する「学生まちづくりサミット」が2006年11月に同大学で開催された。このイベントは、第5回日本都市計画家協会賞特別賞「学生まちづくり部門賞」を受賞した。
 ボランティア部は、祭りの手伝いや、介護施設などでの活動を通して地域に貢献する。ボランティア部に所属する男子学生は、「地域の人々から声を掛けてもらうことが多いので、自分たちで活動できる場所を探すということはほとんどない。地域からの期待を強く感じる」と話す。
 ボランティア部の顧問を務める澤邉みさ子准教授は、開学から7年が経ち、経験を積み重ねる中で、今後の課題が見えてきた状態だという。
 「社会の役に立ちたいという思いを持つ学生は多いが、地域が求めるレベルの力をすぐに発揮できるかどうかは難しい。地域の期待が大きくて、なかなか応えられないという側面もある。毎日の生活で忙しい学生は、活動の継続が難しく、地域の人々に不満をもたれることもある。しかし、学生の『地域にもっと貢献したい』、また地域住民の『学生と一緒にまちづくりをしていきたい』という声は減っていない。今後は、第二段階として、学生が地域の人々に実践力を引き上げてもらいながら、現実に即して、どのように良い関係を保っていくかを考える時期にあるのだろう」


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