企画2

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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学部個別のイベントから他学部との交流が始まる

 3大学の再編・統合によって、学生に変化は見られるのだろうか。芸術文化学部の前田一樹学部長は、芸術文化学部の学生の気質が変わってきていると感じている。
 「短大から4年制大学となり、入試にセンター試験が課せられるようになった影響は大きい。アーティストのマインドを持ちながらも、産業界で活躍したいと考えている者がより多く入学するようになった。美術大学を目指す学生はアーティスト志向が強いが、総合大学にある芸術系学部だからこそ、芸術以外にもいろいろな方向に学生の好奇心が向いている」
 デザインはあらゆる角度から物事を見ていないとできないものだ。総合大学となり、異なる資質を持つ他学部の学生と交流することによって、広い視野が養われることを期待しているという。ただ、学部間の交流はこれから、という状況だ。
 3つのキャンパス間には無料のシャトルバス(前ページ写真1)が運行しているが、他学部で履修できる科目は限られ、3キャンパス合同のサークルもほとんどないため、利用者は少ない。他大学のように、1つの大学として日常的に交流することはあまりないが、学部個別のイベントなどを通して学部間の交流が始まりつつある。
 例えば、人間発達科学部が中心となって毎年秋に開催している「親子フェスティバル」には、2006年度から医学部医学科の学生が参加するようになった(写真2)。

図表

写真2 五福キャンパスで毎年開かれている「親子フェスティバル」の様子。企画はすべて学生の自主的なもの。巨大な迷路やお菓子で作られた家などが人気

 このフェスティバルでは、毎年11月の2日間、五福キャンパスを開放して子ども向けに遊び場や実験教室を提供するなど、20を超えるイベントが行われる。もともと、人間発達科学部の学生の子どもともっと触れ合いたいという自主活動から始まった。年々参加者が増えて規模が大きくなったため、大学主催の行事となった。しかし、今も学生の手作り行事であることに変わりはなく、大学再編・統合を機にこの行事を知った医学部医学科の学生グループが自主的に参加を申し入れ、「ぬいぐるみ病院」と題して、人間の体の仕組みについて知ってもらう、医学科ならではのブースを設けた。
 「『親子フェスティバル』は2006年度で10回目を迎え、入場者数は約1万5000人と、地域の一大イベントとなっている。しかし、再編・統合するまで、ほかのキャンパスの学生はこうしたフェスティバルが行われていることすら知らなかった。このような全学的なイベントをできる限り設け、1つの大学として、全学部の学生が一緒になって地域に貢献できる機会としていきたい」(倉石理事・副学長)


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