図1は、大学教員による高校での学校紹介や講義等を実施している学校数についての経年変化を示している。これによると、大学教員が高校に出向いて行う説明会や講義が2004年度から急増していることが分かる。
その増加の要因の一つとして、こうした出張説明会・講義をイベントとして仲介する業者の台頭が挙げられる。実際、筆者の勤務校に仲介業者から届いた派遣依頼を調べてみると、この2〜3年間に依頼件数も業者数も倍増している。大学教員を高校に招くための高校側の負担が少なくなったことで、大学教員による出張説明会・講義を新たに導入する高校が増え、またそのことが近隣の高校にも波及することによって、急激な増加のサイクルが生じたと思われる。
また、このようなビジネスのニーズを支えている背景として、大学にとっては、18歳人口の減少による学生獲得競争の激化や学生の学力・適性の多様化がある。高校にとっては、学校教育への競争原理(学習資本主義)の導入や、教育の個性化、多様化への要請などの背景がある。
こうした大学教員による出張説明会・講義の増加は、より多くの高校生に「高等教育とは何か」を知らせることにつながるであろう。しかし、高校と大学の学びのギャップを埋めるという高大連携の目標に照らし合わせて、その実態と課題について検討する必要がある。 |