特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 21/34 前ページ 次ページ

大学事例5

大学間の連携事業で、 地域の
教育機関のプレゼンスを高める

教育ネットワーク中国

教育ネットワーク中国は、2007年に設立10周年を迎える大学コンソーシアムである。
柱の一つである高大連携事業では、24の大学・短大が公開授業を実施し、大学の魅力を高校生にアピールしている。
県の垣根を超えて大学・短大、高校など複数の教育機関が連携。
相互理解を深めながら、ひとまとまりの教育機関として地域での存在感も高めている。

単位互換の実績により高大連携事業を実現

 教育ネットワーク中国は、広島県内の高等教育機関の連携を通して、地域の教育の質を向上させ、ひとまとまりの教育機関としての魅力を高めることを目的に設立された大学コンソーシアムである。広島修道大学の市川太一学長(当時、現在は同大学教授・教育ネットワーク中国の代表幹事)をはじめ、広島工業大学、広島経済大学、安田女子大学の各学長が発起人となり、1998年4月に広島県高等教育機関等連絡協議会として発足。翌年に大学間の単位互換事業、地域の社会人を対象とした生涯学習事業を始めた。
 「地域の大学・短大が連携することにより、学生に多様な教育機会を提供できる。また、一つの教育機関としてまとまれば、社会に対して広く存在感を示せると考えた」と教育ネットワーク中国の市川代表幹事は発足のねらいを話す。
 その後、組織・事業の改編を経て、2005年に広島県内だけでなく中国地方全体の連携を目的に「教育ネットワーク中国」と改称。現在、広島、岡山、島根、山口にある30の大学・短大・高専、広島市や呉市の教育委員会、私立中学・高等学校協会が加盟する。加盟は複数県にわたる(表1)。

図表

 高大連携事業を始めたのは2002年。一度、中央教育審議会答申後に検討されたが、保留されていた。それが再度動き出した背景には、広島県教育委員会の改革意欲の高まりがある。かつては「教育県」といわれた広島県だが、当時、中等教育の質の低下が見られ始め、復権をかけて大学との連携事業に着目した。
 さらに大きな原動力となったのは、発足時から培ってきた単位互換事業の実績である。大学からの科目提供、履修者の募集手続きなど、高大連携にも応用できるノウハウを蓄積してきたことが、実現を後押しした。市川代表幹事は「単位互換の実績がなければ、短期間のうちに全県的な高大連携事業を実施することは難しかった」と話す。
 2002年3月、18大学・短大、国立大学の付属高校を除く県内全152高校、広島県・同市教育委員会、福山・呉各市教育委員会、広島県私立中学・高等学校協会が協定を締結し、事業の開始に道筋がつけられた。


  PAGE 21/34 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ