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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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大学事例6

大学と高校が率直に意見を交わし
互いを知る機会を広げる

大分大学

大分大学は、大学と高校が本音で語り合うコミュニケーションを大切にした高大連携を進める。
「キャンパス大使制度」は、大学生と高校生が大学生活について直接語り合う機会を提供。
「高大連携推進ワーキンググループ」は、大学教職員と高校教員がリアルな情報を交換する。
これらの取り組みにより、教育の「中身」で選び、納得して入学する学生を増やすことを目指す。
「キャンパス大使」を経験した学生の心理に副次的な効果も表れたという。

推薦入試による入学者を「キャンパス大使」に任命

 2007年夏、「キャンパス大使」に任命された大分大学の学生44人が、それぞれの出身高校を訪問した。体育館や教室を会場にした講演会で、自分自身の受験勉強の体験、現在の大学での授業や生活の様子などを高校生に直接語りかけた。
 大分大学の「キャンパス大使制度」は、2000年度に経済学部で開始され、その後全学的な取り組みとなった。キャンパス大使に任命された学生は、母校を訪れて自学について説明する。経済学部の場合、原則として推薦入試に合格して入学した2年生がキャンパス大使に任命されるが、一般入試の合格者からも応募を受け付ける。任命された学生は、自分で出身高校に連絡し、かつての担任や進路指導担当の教員に「高校生の前で話す機会を設けてほしい」とキャンパス大使としての意向を伝える。高校側は2学期が始まる8月下旬から9月にかけて訪問日を調整し、それを受けてキャンパス大使が出身校を訪れて話すという段取りである(図1)。

図表

 大分県立大分鶴崎高校を訪問したキャンパス大使の場合、事前に、高校側が高校生から集めた質問事項を受け取った。キャンパス大使は母校の生徒約30人の前で、その質問事項を基に大分大学について説明した後、個別に相談を受けた(写真1)。
 また、学生が北海道や兵庫県などの遠隔地の出身である場合は、夏休みの帰省に合わせて訪問することになる。8月中旬の盆の時期に高校生と直接会って話すのは難しいため、進路指導担当の教員と面会して、大分大学について説明をする。キャンパス大使の任を務めた学生には、1校当たり5000円の謝礼が渡される。

写真
写真1:2007年9月、キャンパス大使4人が母校を訪問し、後輩30人の前で受験勉強のことや学生生活について話した。大使の一人、経済学部2年の岡部百合さんは、高校時代に大学生から直接聞いた話が進路選択に役立った経験から、キャンパス大使に応募した

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