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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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有機的に結合させるには「ツール」の活用が必要

 現在、「3つの方針」の策定には多くの大学が取り組んでいる。しかし、すべての方針が明示され、かつそれぞれが有機的に結合・機能している例は少ない。AO入試の実施、カリキュラムの刷新、GPA制度の導入といった個々の改革は盛んに行われている。だが、それぞれの管轄組織や個々の目的が異なることもあり、大学全体としていかに個性化・特色化を図り、教育の質を保証していくのかが分かりにくくなっている。
 「3つの方針」を結合させるには、あらかじめ明確化されている目標やポリシーを起点とすれば、検討を進めやすいと考えられる。質の保証という観点からすると、ディプロマ・ポリシーを起点にするのがスムーズではないだろうか。到達目標を決定してカリキュラムを編成し、育てたい卒業生像にふさわしい資質を持った入学者を受け入れるための方針を示す、という流れが自然だと考えられるからだ。
 他のポリシーがかなり明確になっている場合は、これを起点にする方法もある。その場合は、プロジェクト化するなど、体制面での工夫が必要だろう。また、教員と職員が混合する組織を設置し、同時に3つのポリシーを策定すれば、学内全体での共有化が進みやすいかもしれない。「3つの方針」は、大学全体で共有できるものであるべきだ。
 いずれにしても、組織的な活動が求められる。そのインフラとしての役割を果たすのがFD、SDだろう。セメスター制、GPA、授業評価の導入など、「3つの方針」を運用するために使いこなすべき「ツール」はいろいろある。これらは、文部科学省の調査を見る限り、GPAを除き、大半の大学で導入・実施されているので、あとはいかにこの「ツール」を大学全体で共有して、「3つの方針」の策定・結合に活用するかがポイントだといえる。

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