教職協働の理想像を探る

　中央教育審議会は2008年３月に発表した「学士課程教育の構築に向けて（審議のまとめ）」の中で、教職員の組織的な協働関係を確立し、能力開発を行う重要性を説いている。
　これまで、教職員の職能開発については、ＦＤの制度化、ＦＤ活動への支援が議論の中心だった。まず、大学院課程の専門職学位課程でのＦＤが2003年に義務付けられ、その後、2007年には博士・修士課程でも義務化された。
　学士課程においては、1999年に努力義務が大学設置基準に明記されたものの、義務化に至ったのは９年後の2008年のこと。教員に対する義務化ではなく、大学が組織的に実施することを義務付けている。
　ＦＤを実施する大学は、確かに年々増加している。文部科学省の「大学における教育内容等の改革状況について」（2008年度版）によると、2004年度には国・公・私立合わせて534だった実施大学数は、2006年度には628校に増えている。
　従来、ＦＤ活動を推進してきた大学はいくつもある。しかし、初めから方向性がはっきりしていたわけではなく、手探り状態での活動だったのではないだろうか。まして、教員と職員が協働してＦＤ活動を行ってきた例は数少ない。義務化された今 こそ、教職員が一体となってＦＤを推進していく好機だといえよう。