教育力を向上させるため、教員と職員の協働が必須であることは共通認識であり、それぞれの立場で議論できるような環境づくりが必要だ。
　そのためには、職員の専門性を高めることが重要だという意見がよく聞かれるようになった。職員の専門性および能力を高めるために、組織的にＳＤに力を入れる大学もある。そのような大学では、教員と職員とで教学経営に関する議論を深める場を持つという取り組みも見られる。
　結果として、大学を取り巻く環境の変化や様々な問題に対応する取り組みに、職員はその専門性を発揮することができる。さらに、ＯＤ（Organizational Development）にも、つながっていきやすいだろう。
　ＯＤという視点から「教職協働の新しい形」を推進することが、今後の大学改革の行方を左右するのではないかという考えがある。教職員の能力開発のため、ＦＤ・ＳＤ活動を組織的に支援する仕組みづくりをすることも一つの方策といえよう。
　本年６月に開かれた大学教育学会のシンポジウムIIでは、教員と職員のコラボレーションの視点から教育力を考える試みが行われた。指定討論者である立命館大学の安岡高志教授は、「組織として発展するために、教員と職員が共通の目的を持つことが大切」との前提条件を提示。シンポジストとして参加した職員は、「それぞれの領域で専門性を高め、協働することが大切」という意見で合致した。