設置区分や大学の経営組織によって違いはあるが、これまでの学生募集は入試広報として職員が担うケースが多く、一斉テスト形式の入試業務と学生募集（入試広報）を職員が担う構造となっていた。1997年度入試は一般入試が72.1％を占め、一斉テスト形式の入試業務により学生募集（受験生募集）が行われていた。
　当時、受験生の「大学教育の内容」に対する評価は決して高くはなく、いかに魅力的に大学を語るかに重点をおいた学生募集戦略が展開されていた。一般入試・推薦入試ともに判定業務は、教員が担当したが、入試実施計画および運営、学生募集業務は職員が担当していた。
　1990年、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで日本初の「ＡＯ（アドミッションズ・オフィス）入試」が導入された。それからしばらくは、この入試に追随する大学はなかった。しかし、1997年の中央教育審議会「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について（第二次答申）」を受け、1999年を境にＡＯ入試は急速な拡大を続ける。それは、答申での行政による積極的な姿勢に起因するというより、初等・中等教育の変化や学生確保が要因になっている。
　公私立大学に続き、国立大学の推薦・AO入試の定員上限枠も2008年度に50％に拡大された。推薦・AO入試による入学者数の割合は増え、2007年度には４割を超えている。