高校生の心に響くような
大学からのメッセージを

　本校でも、毎年、入試広報を目的とした多くの大学教職員の訪問を受け入れている。それは進路指導担当教員を対象にした入試関係職員によるものから、生徒を対象にした研究室ごとの説明会まで多様である。
　私たち進路指導担当者にとっては、いずれも大学・学部の現状を知る貴重な機会であり、今後も多くの大学の訪問に期待している。一方、生徒にとっても、大学説明会は大学の教職員の話を直接聞くことのできる、またとない機会である。その中で、特に印象に残っている大学の説明会の例を挙げる。学生数約1000人の比較的小規模な公立大学による説明会である。
　ここ数年、毎年のようにお越しくださる教員は、「大学で学ぶ真の意味」「その大学だからこそ学べること」「その大学が求める学生像」を参加生徒一人ひとりに向けて熱心に語られる。オープンキャンパスに参加した生徒の顔を覚えていて、親しく語りかけられたこともある。教員の深い人間性が感じ取れることもあり、講話に強い感銘を受けて「ぜひ、その大学で学びたい」という固い志望を抱く生徒が毎年、数人現れる。
　地域に密着した公立大学だからこそ、このような説明会ができるのかもしれない。だが、この例に見られるように、何のために大学に行くのかを自問している高校生は、説明を聞くことを通して、数値化された難易度で下されがちな大学への一般的評価とは別に、その大学に強い進学希望を抱くことがある。
　毎年、福岡市で開催される東京大学主催の大学説明会には、九州大学をはじめ多くの大学が参加する。そこでは、大学のアドミッション・ポリシーや、めざしている方向性が説明される。大学や入試に関する情報を得る上で欠かせない場である。
　それに加えて、高校生が大学への進学意志を高め、学生生活が充実したものになるためには、前述の公立大学の例のように「大学での学びが人生にとって、どのような意味があるのか」という、高校生の心に響くような大学側からのメッセージを届けることも必要であると考える。