リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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社会に必要な「砂糖」のような女性

片岡 湊学長ご自身も、3人のお子さんがいらっしゃると伺いました。

 ハーバード大学の博士課程で学んでいる時に、妊娠が分かりました。夫も共に学んでいたのですが、私はその時に博士課程を中断しました。あきらめかけていた赤ちゃんができたのがとてもうれしかったからです。日本に帰っての10年間は、3人の子育てで、足踏みの時間でした。
 「育児は育自(自分を育てる)」の時間。女性にとって大切な時期なのです。私は、子育てをしながら、年に1本は論文を書いていました。どんなに忙しくても、時間はつくれます。長いキャリアの中で大切なのは、ビジョン、パッション、そして社会に奉仕するというミッションを持ち続けることです。一歩進んで半歩下がってもいいのです。

片岡 学長が先ほどおっしゃっていた、縦軸の話を引用すると、人との比較ではなく、一歩進んで半歩戻りながら縦軸を登っていくことだと理解しました。
 では、マルチプルキャリアを生きる現代の女性に特に身に付けてほしい力、4年間で獲得してほしい力とは、どのようなものでしょうか。

写真  日本文化は二人称文化、つまり、主語が“You”なのです。しかし、リーダーシップを取っていくには、「私は」こう思うという意見をしっかり述べる力が必要です。だからといってヒステリックになるのではなく、自分を制して一歩下がる力も求められます。冷静な判断力、決断力を付けてほしいと思います。
 そして、切断力。あちらにもこちらにも良い顔をしていてはリーダーにはなれません。さらに切断したことに責任を持つことも必要です。
 あと1つ、女性として大切にしてほしいことがあります。錦糸卵を思い浮かべてください。白身と黄身がきれいに混ざっていないと、きれいな黄色の錦糸卵ができない。実は、砂糖を少し加えて混ぜると、きれいな黄色の錦糸卵ができます。砂糖の存在で、2つのものがけんかすることがなくなるのです。つまり、「妥協のない信念を持った受容」「相手の言うことを自分の手のひらに1度載せてみる余裕」があると、がんじがらめになった問題にも解決策が見いだせると思うのです。
 きちんと自分を持って、判断力も決断力も切断力もある、それでいて砂糖であることができる成熟した人が、日本の社会や世界を良くしていくと思います。


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