付属校の設置には、内部進学者の確保だけでなく、教育段階の接続を強化するという目的がある。
　付属校化のねらいの一つに「育成すべき人間像を高校と大学で共有した上での教育の連続性の確保」を挙げているのが龍谷大学だ。1995年から平安中学校・高校と教育連携をし、高校のカリキュラム編成に大学の教員がかかわっている。これは、大学で学ぶための基礎学力を高校教育の中で身に付けさせようとする試みで、今後の付属校化を考える上で、重要なポイントだといえる。
　付属校生が大学での教育や研究に触れることによる学びの動機付けなど、初等・中等教育の段階から高等教育を見据えた教育を実践できるのは、付属校の強みだといえる。
　このような付属校の設置やそれに伴う教育の接続に代表される戦略をここでは「縦軸」の戦略とする。

　「横軸」の戦略としては、学園（法人）間の連携・統合を進める動きが目立つ。その一つとして、複数大学による共同学部の設置が挙げられる。
　関西大学・大阪医科大学・大阪薬科大学は、共同の生命科学系学部を2010年4月に開設する予定だ。医学・工学・薬学を学際的に学んだ人材の育成を目的としている。共同大学院もしくは連合大学院等の設置を検討するという。
　文部科学省は、共同学部・共同大学院の設置を検討している。2008年夏ごろに大学設置基準等の省令改正が行われ、2009年に共同学部・共同大学院の設置認可等の手続きが可能になる予定だ。
　また、2008年度には「戦略的大学連携支援事業」が始まった。同省の資料によると、連携のイメージには、教育研究施設の共同利用等のほかに、事務局機能の共有化も含まれている。大学間の包括的な連携のニュースが相次ぐ中で、法人としてどこまで連携し、何を共有化するのかを検討すべき時期が訪れているのではないだろうか。
　名称の変更により、学園（法人）自身のイメージや取り組みを刷新しようとする動きも見られる。
　広島文化学園が運営する呉大学と広島文化短期大学は、2009年度、名称を広島文化学園大学、同短期大学に変更予定。教育・研究の共有化と統合化、キャンパスの有効利用をめざす。学校法人五島育英会は、武蔵工業大学と東横学園女子短期大学との統合（2009年度予定）を機に、「都市大グループ」として新たな存在感を打ち出そうとしている。学園（法人）自身の変革も「学園戦略」の大きなポイントである。