「都市大グループ」として
学校間の連携を強化

　2009年４月、学校法人五島育英会は、武蔵工業大学と東横学園女子短期大学を統合し、「東京都市大学」に改称する予定だ。同時に、同法人が設置する高校３校、中学校２校、小学校１校、幼稚園１園も大学名を冠した名称に変更し、グループ名を「都市大グループ」にする計画を発表した。
　改革の最大のねらいは、学校群の統一による総合力の発揮だ。「各学校が特色を生かした施策を展開すると同時に、学校群全体のスケールメリットを十分に発揮するため、創設以来、最大規模の改革に取り組んでいる」と、山口裕啓理事長は説明する。
　グループの中核を担う東京都市大学は、武蔵工業大学の理工系２学部（工学部、知識工学部）、文理複合系１学部（環境情報学部）、および同大学と統合する東横学園女子短期大学を改組して誕生する文系2学部（都市生活学部、人間科学部）の、計5学部16学科を有する総合大学となる予定。大学の規模拡大によって、経営基盤を強化する。また、より広範な学術領域をカバーして教育研究活動の質をいっそう向上させるとともに、入学志願者の確保にもつなげる意向だ。
　統合に向けて、武蔵工業大学は様々な改革を進めている。今の大学に求められているキーワードを「エネルギー、環境、都市、情報、福祉」ととらえ、2007年度に、知識工学部３学科を新設した。工学部では、同時期に生体医工学科を新設、2008年度には原子力安全工学科を新設、環境エネルギー工学科をエネルギー化学科に名称変更した。そして、2009年４月の統合時には、知識工学部に自然科学科を新設、応用情報工学科を経営システム工学科に名称変更する予定だ。
　学部・学科を再編して教育を充実させる一方、学生が自分の適性や興味を探りながら学んでいく体制を整えるために、2007年度に学群制やコース制を導入した。今後は、学部・学科間の連携をいっそう強化し、より多様な学びの選択肢を提供するなどの改革を進めていく考えだ。
　教育環境に関する改革としては、学校評価制度を導入し、ＰＤＣＡサイクルによる継続的な改善を行うシステムを整えた。また、事務職においては人事評価制度を導入。職員の意識改革を行うためのＳＤの一環としても機能している。