学生の授業評価を基にした
教員表彰制度を柱に 教育改革を活性化

　横浜国立大学は、2003年に教養教育や入試、キャリア教育（2007年から）などについて総合的に調査・研究する「大学教育総合センター」を設置した。このセンターは５つの部門で構成され、その一つである「ＦＤ推進部」では、２人の教員、および事務職員がＦＤ活動の研究、企画、実施や評価を行っている。
　ＦＤ推進部が中心となり、2005年度にＦＤ活動の柱として導入したのが「ベストティーチャー賞」だ。学生による授業評価アンケートの結果などを基に、優れた教育を提供する教員を選出して表彰し、その教員の取り組みを大学全体に広める目的を持つ。
　ベストティーチャー賞の受賞者は、授業評価アンケートの分析結果などを基に、各学部長が数人の教員を推薦し、役員会の最終判断で選出される。受賞者には表彰状と副賞が授与され、学部によっては規定に沿って研究費の配分などにも反映される。2005年度は９人、2006年度は13人、2007年度は11人が表彰された。受賞した教員が再び受賞資格を得るのは、学生が入れ替わる4年後となる。
　授業評価アンケートには、ＦＤ推進部が作成した全学共通フォーマットが使用され、前後期のすべての授業（卒業研究等は除く）で実施される。評価項目は「授業は理解できたか」「授業方法は工夫されていたか」「教員の話し方や板書は分かりやすかったか」など約20項目だ。
　ＦＤ推進部では、この授業評価アンケートを利用し、学生の評価を左右する要素について研究している。質問項目はアンケート結果の経年推移を見るために極力変えないが、自由記述欄を設けて、学生がどのような授業を評価しているのかを明らかにし、ＦＤ活動に生かすこととしている。
　当初は、教員の「人気投票」になるのではないかという懸念の声も上がったが、実施してみると、ほとんどの教員を納得させる公正な評価が集まったという。