2008年度、文部科学省は大学教育改革支援の一つとして「戦略的大学連携支援事業」の公募を行った。「国公私立大学間の積極的な連携を推進し、各大学における教育研究資源を有効活用することにより、当該地域の知の拠点として教育研究水準のさらなる高度化、個性・特色の明確化、大学運営基盤の強化等を図ること」を目的としている。
　対象は、大学、短大、高専が連携して行う取り組み。「総合的連携型（地元型）」「総合的連携型（広域型）」「教育研究高度化型」の区分けがあり、１校につき２件まで（総合的連携型に２件不可）申請できる。
　申請内容を見ると、特定のタイプに偏ることはなく、さまざまな研究テーマに取り組んでいる。例えば、教育研究高度化型では、「地域で活躍する人材輩出」「環境教育」に関する事業が各３件、「医療」「創薬研究者養成」が各２件と重複したが、それ以外は、「国際通用性」「リベラルアーツ」「先端生命科学」などバラエティに富んでいる（編集部分類による）。「総合的連携型（地元型）」では、「まちづくり」「教育プログラム・カリキュラム開発」が、「総合的連携型（広域型）」では、「地域で活躍する人材輩出」についての事業が多かった。
　地域別に見ると、関東の大学からの申請が22件と最も多く、次いで近畿、北海道・東北と続いた。異なる地域同士の連携も見られ、「北海道・東北＋中部＋九州・沖縄」「東北＋九州」など、距離を問わない連携が少なくない。　
　設置者別では、「国＋私」「国＋公＋私」の組み合わせが多く、設置者にこだわらない連携が進んでいることが浮き彫りとなった。
　学校の種別にも単一性は見られなかった。大学院・４年制大学が短大、高専と連携を行うケースが30件以上あり、それぞれの専門を生かし合い、積極的に互いの教育力を高めようという意識が読み取れる。
　本年度は、54件の取り組みが採択された。次年度は「大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム」と目的が明確な名称に変更予定で、予算80億円が概算要求として出されている。