特別企画

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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国内外の大学と連携し
新たなタイプの学びを創出

関西大学

大阪医科大学、大阪薬科大学との共同学部設置を発表し、
注目を集めている関西大学。これだけにとどまらず、
早稲田大学や大阪大学との大学間連携をはじめ、
国際的なネットワークなど、重層的に連携事業を広げている。
めざすのは、連携による「新たなタイプの学びの創出」だ。

大阪医科大学、大阪薬科大学と
生命科学分野の共同学部を設置(構想中)

地域ぐるみのプロジェクト

 関西大学、大阪医科大学、大阪薬科大学の3大学は、2010年4月に生命科学分野の新学部を共同設置することを発表した。実現すれば、全国初の試みとなる。
 関西大学では現在、複数の大きなプロジェクトが進行中で、今回の新学部設置はその一つだ。「関西大学 2010プロジェクト」と総称されるプロジェクトの一環として、初等・中等・高等教育、社会人教育を一貫して行う新キャンパスが、高槻市に設置される。大阪医科大学、大阪薬科大学は高槻市内にある大学。3年ほど前から、各大学の学長・理事長の間で、本格的な連携協力の話が非公式に進んでいた。研究面では、関西大学の工学、大阪医科大学の医学、大阪薬科大学の薬学の知を結集し、新たな知識・技術、製品開発につなげるのが目的だ。例えば、人工血液・医療福祉機器の開発、薬剤が患部に届けられるデリバリーシステムなどは、医・工・薬が連携して初めて成り立つ研究。3大学の知の結集により、大きな成果が期待できる。

図

日常の関係づくりが大切

 高槻市がつくっている市内の高等教育機関との協議会で、3大学は互いに面識があった。意見交換を頻繁に行い、共同研究なども継続的に実施していた。そのうち連携の話が持ち上がり、関西大学は2005年に大阪医科大学、2007年に大阪薬科大学と連携協定を締結。文部科学省が複数大学による学部の共同設置を認める方針を打ち出したのを機に、3大学共同学部設置の話も一気に進んだ。
 「時間をかけて関係を築いていたからこそ、共同学部設置の話がスムーズに進んだ」と関係者は声を揃える。計画では新校舎を大阪医科大学のキャンパスに新設。学生は3大学に同時に在籍し、学位は3大学が連名で授与する。
 詳細については、協議会を設置し、意見を交換している。協議会の中は大・中・小の3つに分かれている。最も大きな会は、各大学から5人ずつ出席する代表者会議で、月1回開催される。しかし、15人の大所帯では、なかなか迅速に話が進まない。そこで、各大学3人ずつが週1回の会議を行うワーキンググループを作った。さらに、各大学から1人ずつ選抜、新学部の概要やカリキュラムを作成するチームを作った。
 芝井敬司副学長は、「実現すれば全く違う高等教育の世界が見えてくる」と言う。連携によって大学や研究をより良い方向に導き、社会に生かしていくことが大切だ。関西大学ではこれを幅広い「社会連携」と位置付けている。


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