教員の教育・研究活動に関する
データベースに99％の入力率達成

　九州大学がIR専門組織を創設したのは2004年４月のことだ。前身は2001年７月に発足した「評価情報開発室」。自己点検・評価の義務化に対応するために設置されたが、2004年度の法人化を機に「大学評価情報室」に改組された。大学評価の支援のみならず、大学のマネジメントを支援するための情報収集・分析や、学外への情報提供も担う組織に生まれ変わった。
　評価担当理事の落合英俊副学長を室長として、副室長１名、専任教員３名（准教授１名・助教２名）、および数名の兼任・協力教員で構成される。組織には教員のみが所属するが、業務には職員が必ず参加し、協働する体制を取っている。
大学評価情報室が担う業務は、主に次の３点だ。
　（１）全学・部局への評価に関する情報・ノウハウの提供、評価書作成支援、（２）大学の管理運営や評価活動支援のための教育データの収集・分析と、ウェブページや、入学者数や在籍学生数など５カ年の組織の情報をまとめた『ファクトブック』（組織データ等）による学内外への発信、（３）教員の教育・研究活動のデータベース「大学評価情報システム」の構築と学外への公開。
　そのほか、全国の国・公・私立大学の評価担当者を集めて行う「大学評価担当者集会」の運営や、他大学の学長等の有識者を招聘（しょうへい）して講演を行う「大学経営研究会」の開催など、学外との交流を通してノウハウを集積するのも同室の役割だ。「評価」を起点として、大学経営の改善にまで踏み込んでいる。
　大学評価情報室の兼任教員である高等教育開発推進センターの小湊卓夫准教授は、次のように語る。
　「多くの大学で、評価のためにIR的な部署を設置して情報収集を行っている。しかし、評価の本来のねらいはデータを集めることではなく、データを収集し評価書を記述する過程で見えてくる課題を改善し、大学の良さを伸ばすことであるはずだ」
　大学評価情報室が大学のマネジメント支援に果たす役割は、今後ますます大きくなる。