リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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学びの意味や楽しさを伝える教育が今こそ必要

片岡 「理工系離れ」が、高等教育界ひいては産業界で長い間、解決すべき課題となっています。小学4年生くらいまでは理科が「好き」と答える子どもが多いのですが、学習内容が難しくなる高学年では「嫌い」という子どもが増えていくという調査もあります。

茂里 初等教育の重要性は十分認識しています。少子化、大学全入時代となり、高校入試、大学入試によって子どもの学習意欲を保つ時代は終わりました。学びの意味や楽しさを伝えるという、本来の教育が求められています。入試によるリレーで小・中学校、高校、大学がそれぞれ教育するのではなく、これらの連携が必要です。

片岡 学習の動機付けとして具体的にどのようなことが必要なのでしょうか。

写真 茂里 携帯電話がどのような仕組みで動くのか、ごみはどのように処理されているのかなど、社会にあるものの背景を子どもに伝えることが重要だと思います。そのために本学では、小学生向けの体験講座や高校生対象の出張講義を行っています。

片岡 入学者に対しては、どのように学習への動機付けをしていますか。

茂里 「教育改革18」を具現化する恒常的な組織として「HIT教育機構」を設置し、その中に「学生受入・接続教育部門」を設けました。そこが担当して、2007年度入試からAO入試の合格者に対して、入学前に3回の通信添削課題を出しています。英語・数学・物理の教科学習に加え、学科に関連した最新ニュースの記事を送り、感想を書かせます。入学後に学ぶ専門分野の最先端技術について知り、専門への思いをいっそう深めてほしいからです。
 参加率は約90%と、ほとんどのAO入試合格者がこの課題に取り組み、事後アンケートでは約90%が「この課題によって学科への関心が高まった」と答えています。入学前教育は、学習の動機付けの一助として十分機能しています。


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