IR 数値はこう読み解く

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 2/4 前ページ 次ページ

大学の関与の有無で「退学」をより細かく分類

 私見ではあるが、積極的退学は、消極的退学と同じようにとらえることは適当ではない。在学している大学で満足度を高めることができない学生が新たな場所を求めようとすることは当然の判断であり、非常に良い傾向だともいえる。「今すぐ働きたい」「在学している大学にない領域の勉強をしたい」といった理由で退学する者までを退学率に含め、それを大学の経営指標にしては、判断を困難にする恐れがある。
 ただし、大学や教職員の関与が適切でないためにやむなく就職や進路変更をする学生がいれば、これは消極的退学として数えるべきであろう。
 消極的退学理由については、大学や教職員の関与により退学を回避できるものと、できないものに区別する必要がある。例えば「学業意欲喪失、修学意志なし」「単位不足」「経済的理由」等は、大学や教職員の関与によって改善できる場合もある。しかし、「病気・体調不良」「家庭の都合」「勤務の都合」等は、それが難しいケースが多い。
 以上のように、理由により積極的退学、消極的退学に分ける必要がある。さらに、積極的退学は大学や教職員に原因「あり」「なし」に、消極的退学は大学や教職員の関与「あり」「なし」に分け、「あり」の場合、それを「十分」「不十分」に分けて検討すべきである。
 退学率に関しては、この辺りまで情報を収集・分析しなければ、改善のために「企画・政策策定・意思決定を支援する」ことはできない。


  PAGE 2 /4 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ