特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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調査結果が示すキャリア教育の満足度

 現状のキャリア教育に対する学生の評価を2つの調査から見てみよう。
 進研アドが2007年から2008年にかけて、私立大学36校の3年生を対象に実施した「学生満足度調査」では、教育内容に関する9つの「満足度指標」の中で、キャリア教育が3番目に低かった。

満足度指標、満足度指標の偏差値平均

 調査では、大学生活で自分が身に付けたと思う力についても質問し、6項目の「成果指標」として整理。「満足度指標」と「成果指標」の合計値と満足度指標の各項目との関係を見ると、合計値が高い大学はキャリア教育の満足度が高く、合計値が低い大学はキャリア教育の満足度が低かった。つまり、キャリア教育に対する満足度は、総合的な教育満足度と、自分で身に付いたと思う総合的な力の総和と相関関係にある。

進路支援体制の満足度

 ベネッセ教育研究開発センターによる2008年10月の「大学生の学習・生活実態調査」では、国公私立大学の1〜4年生に、「進路支援の体制(就職セミナーやガイダンスなど)」「施設・設備」「大学全般」「教員」「授業・教育システム」の5項目に対する満足度を聞いた。「とても満足」「まあ満足」を合わせた割合は、「施設・設備」が76.0%でトップ。「進路支援の体制」は49.5%で、「授業・教育システム」と並んで最低だった。1・2年生は「進路支援の体制」に対する満足度が特に低く、「判断できない」という回答も多い。これは、低学年からキャリア教育を実施する大学が少ないためだろう。
 これら2つの調査から、キャリア教育は、学士課程教育全体に対する学生の評価を左右する重要な要素であるにもかかわらず、大学は、低学年も対象にした満足度の高いキャリア教育を実施していないといえる。


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