特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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CASE5 企業との連携

1年次から始める
大学主導のインターンシップ

京都産業大学


京都産業大学は、1年次からの体系的なキャリア教育に力を入れている。
大学での学習とインターンシップを「サンドイッチ方式」で交互に繰り返すプログラムや、社会人基礎力の考え方を取り入れた課題解決型のプログラムなどで、企業と連携。共通教育・専門教育にも、キャリア教育の視点を入れようとしている。

4年一貫のプログラムで就業体験を4回継続

 京都産業大学は、開学当初から産学連携に積極的に取り組んできた。その代表的なものが、独自に開発した体系的なキャリア教育「日本型コーオプ教育」だ。2003年度に始め、2004年度の現代GPに選定された。
 「コーオプ教育」はCooperative Educationのこと。全米コーオプ教育委員会では、次のように定義している。「教室での学習と、学生の学問上・職業上の目標に関係する分野での有益な職業体験とを統合する、組織化された教育戦略」(NPO法人産学連携推進フォーラム訳)。学生・教育機関・企業などが、それぞれの役割に応じて責任を分担し、理論と実践とを結び付ける活動を行う。
 キャリア教育研究開発センターの中川正明ディレクターは、「一般的なインターンシップは3年生が中心で、企業体験をしても気づきを学習に生かせる時間が限られる。学びを深化させるには、大学が主体的に関与し、1年生も対象に、実社会と大学教育とを関連付けるプログラムを開発する必要があった」と話す。
 こうして生まれたのが4年一貫の「オン/オフ・キャンパス・フュージョン(O/OCF)」だ。コーオプ教育の中核的プログラムで、学内での学習と学外でのインターンシップを交互に繰り返す「サンドイッチ方式」を採用。オン/オフのプログラムを4年間で4回繰り返し、スパイラルな教育効果向上をねらう。学外で自分に何が必要かに気づいたうえで、大学に戻って主体的に学んでほしい、というのが大学の考えだ。
 O/OCFの定員は100名。1年次の受講生のうち、4年間続ける者は約半数だ。目標を見つけ、それに専心するためにやめるという積極的なケースもある。インターンシップ先の開拓を原則として本人が行うなど、受講継続は大変だが、受講生の多くは、「社会における自分の位置付けが理解できるようになった」と感じているという。
 O/OCFの成功要因は、キャリア教育を支える学内体制にある。中川ディレクターは、「本学は10年前から、就職を目的としない『教育インターンシップ』を、教員の協力を得ながら教務部主導で展開してきた。この文化が教育効果につながっている」と話す。


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