リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「ささえあい」の精神で教職協働を実践

川目 全国でのスクーリングにせよ大学間連携にせよ、運営には教職員の団結が欠かせません。貴学の特徴である教職協働の気風は、どのようにして形成されるのでしょうか。

加藤  本学の理念である仏教用語でいう「共生」は、「ささえあい」の精神です。人を区別せず、楽しさも苦しさも分かち合い、支え合う、この精神が、創立以来の伝統です。
 職員は、大学の経営や管理運営のみならず、教育にも大いに口を出してもらうという気風があります。実習やフィールドワークについて、すべての教員がうまくコーディネートできるわけではありません。オンデマンド教材も、図表や動画を効果的に使って理解しやすいものを作るのは、職員のほうが得意である場合が少なくありません。多様な人々とのコミュニケーションを通して学生の社会性を高めるうえでも、積極的に職員の力を生かしてもらっています。

川目 教員と職員がそれぞれの立場を認めながら、組織全体の方向性を維持するのは容易ではありません。教職員のバランスを保つためには苦労も多いのではありませんか。

加藤 自由闊達(かったつ)に発言し合う気風は、さまざまな意見を吸い上げられるメリットがある半面、ときには意見がぶつかり、傷つけ合うという問題もあります。「ささえあい」は、すべてを慈愛で包み込むということではありません。意見の違いを明確にしたうえで、尊重し合うことも「ささえあい」です。そうした摩擦や葛藤を超えて、学生のためにできることを教職員が一緒に考えられるところに、本学の強みがあります。
 大切なのは、大学を構成するすべての人たちが、学び合う姿勢を忘れないこと。生涯学習の観点からも、私を含めて全教職員が学び続ける存在でなければいけません。自分は教える側だと思った瞬間に、その人の成長は止まる。そういう考え方を、学生を含む大学全体に浸透させることが大切です。

川目 大学教育のあるべき方向性を示唆するお話をありがとうございました。

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