海外実地調査報告

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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欧州大学協会(EUA)

個別大学の質向上を生み出すしくみを評価

ヨーロッパにおける高等教育機関の質保証づくりのコモンセンス  ヨーロッパはEU(欧州連合)による国家間の関係強化に努める一方、教育においてもボローニャ・プロセスを通じて、欧州高等教育圏の確立をめざしている。
 2001年に発足したEUA(Europe-an University Association)は、ヨーロッパの高等教育機関ネットワークの一つで、2009年2月現在、46か国から800校以上の高等教育機関と、34の学長会議が参加している。その役割は、教育・研究・社会サービスという3つの基本的な使命の遂行に向け、大学を啓発することにある。
 EUAは、自治能力を有する大学コミュニティーとして、特に、大学機関単位での対話を通じた学内の改革、質保証を促してきた。
 EUAが行うInstitutional Evaluation Programme(IEP)を、ここでは「質改善評価プログラム」と呼ぶことにする。これは、質向上を生み出すプロセスを評価するプログラムだ。個別の大学が、自ら定めた目標の達成度や質保証のシステムについて、どれだけ納得しているかを評価するものだといえる。EUAは2009年2月現在、40か国250機関を評価。多くはヨーロッパだが、ラテンアメリカや南アフリカなど、EU圏外の高等教育機関も含まれている。
 ここでは、教育・研究・社会サービスの質そのものの評価は行われない。あくまで、大学内の質向上を生み出すシステムやメカニズムを評価し、その開発を支援することに力点が置かれている。外部評価委員を務めるのは学長経験者のみだ。大学の自己評価に基づき外部評価委員がまとめる提言報告書は、大学にフィードバックされ、戦略計画立案に用いられる。
 戦略計画立案のためのフレームワークはシンプルだ。大学経営層は、次の4つの問いに答えればよい。(1)本学の取り組むべき課題は何か?(ミッション)、(2)その課題にどう取り組むのか?(しくみや過程)、(3)それらの有効性をどう明らかにするか?(モニタリング)、(4)それらのために大学をどう変革するか?(改革案)。


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