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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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建学の精神に基づく教育ブランディング

「選ばれる大学」になるためには、ブランド力の向上が大きな課題だ。
Between編集部は、建学の精神を核として
戦略的に教育施策を統合する
「教育ブランディング」を提唱する。
社会の支持・共感を得て大学運営の幹を太くするという
ブランディングのあるべき姿をベースに、
新しい教育ブランディングの概念について考える。

Betweenレポート ブランドの核となるべき建学の精神

ブランドの核となるべき建学の精神


「教育ブランディング」を考えるうえで建学の精神がなぜ重要なのか。教育への反映は学生の育成に大きく影響し、社会にはばたく数多くの学生は、大学のブランドを大きく左右する。編集部独自の教育ブランド調査や一貫校戦略の動きなどから、建学の精神を礎とした太い幹を持つ大学づくりを考えてみたい。

ブランディングの成果を示す“人材”

建学の精神は組織を育てる文化

 近年、「ブランド力の向上」に取り組む大学が増えている。例えば、武蔵野大学は、ブランディングプロジェクトにおいて全学的な教育理念を見直し、各学部・学科の目標に設定した。明治学院大学は、建学の精神の浸透を図るコミュニケーション活動の一方で、課外活動を含む教育を通した理念の実現をめざしている。「選ばれる大学」になるために、ブランド力の向上は、すべての大学に共通する課題といえる。
 ブランディングコンサルタントの小出正三氏は、大学のブランディングにおける建学の精神の重要性について、「組織を育てる文化であり、方法論。ブランドづくりを支えるのはトップダウンよりも成員各自の自発性で、建学の精神は学んだり働いたりする『意味』を与えてくれる」と話す。独自の文化に共感する者が学生や教職員として参加してこそ、組織は成長し、文化が継承される。
 小出氏はさらに、「建学の精神は、常に社会の変化からの挑戦を受けている」と指摘する。例えば、国際性を特色とする大学も、社会全体の国際化が進めば埋没してしまう。「建学の精神を時代に合わせて再解釈し、現代語訳して伝えることが大事」と説明する。もちろん、メッセージがステークホルダーにどう伝わっているかを絶えず確認する作業も必要だろう。


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