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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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母校推奨度に見る卒業生の支持・共感の落差

 大学はまず、建学の精神に基づいて、めざす人材育成像を明確にすべきだ。これを学内で共有し、大学と社会の環境変化や学内資源をふまえて戦略プランに落とし込むことになる。それが目標達成のメカニズムといえる。戦略プランを教育面で具体化する際は、3つのポリシーを整合させ、組織的に教育プログラムを構築する必要がある。各種の学生データを用いて継続的に検証し、プログラムの精度を上げるべきだろう。
 このようなプログラムによって育成された人材に対する社会の評価こそが、真のブランド力といえる。教育理念や輩出する人材への支持・共感が広がれば、「知人に薦める」「寄付をする」といった行動を人々に促し、大学運営の幹を太く強固なものにするはずだ。

教育ブランディングのプロセス

 通常、大学が最も強い支持・共感を期待するのが卒業生だろう。進研アドが2009年2月に実施した調査により、卒業生のシンパ化の成否を如実に示すデータが得られた。
 調査は、卒業生の母校に対するイメージや評価、他大学との比較による母校受容度などをつかむために実施。首都圏の大学12校の卒業生を対象に、「知人や子どもに薦めたい大学(3つまで選択)」を聞いた。同列にランクされることが多い5つの総合大学の卒業生では、いずれも母校を挙げる人が最も多かった。しかし、4大学の母校推奨度が7、8割台だったのに対し、残る1つの大学では5割台と際立って低かった。
 ブランドを体現し、最強のシンパであるはずの卒業生から支持・共感を得られていない大学は、人材育成とコミュニケーションのあり方を問い直す必要があるのではないか。


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