特集
寺﨑昌男

てらさき・まさお

1932年生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了。教育学博士。専門は日本教育史、大学史。立教大学、東京大学、桜美林大学大学院の各教授、日本教育学会、大学教育学会の会長等を歴任。2003年から現職。東京大学・桜美林大学名誉教授。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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論説

大学を内から肥やすための
アイデンティティーの共有


立教学院本部調査役

寺﨑昌男

独自性の象徴である建学の精神

 「ブランド」とか「ブランディング」とかいう言葉が大学の世界に頻用される風潮は、好ましいものではないと感じている。「ブランド」の経営学上の定義は知らないが、英語では、もともと「燃えさし」「焼き印」といった、あまり魅力的でない意味を持ち、「銘柄」「セールスポイント」といった意味は後になってできたらしい。
 大学について使うならば、せめて「独自性」といったほうがよい。そうすれば、「個性的な歴史」「教育研究の特色」「卒業生の特質」といった、一つながりの、大学らしい特徴を表す言葉になる。
 それはともかく、個々の大学の独自性が、これほど頻繁に問われる時期があったろうか。独自性を語る象徴的な言葉の一つが「建学の精神」である。だが、それはいったいどのようにして確かめることができるか。仮に確かめ得たにしても、学内の一部の人間が知っておくだけでいいのか。共有する必要があるのではないか。それにはどうすればよいか。こうした課題が次々に浮かび上がる。


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