リーダーズマインド

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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 LEADER'S
 MIND
 No.006

世界中の人々が集う
国際的な知の拠点となるために

  LEADER 明治大学学長 納谷廣美
   INTERVIEWER (株)進研アド代表取締役社長 川目俊哉

「大学が生き残るには、自学の可能性と限界を知ることが大切」と、納谷廣美学長は述べる。世界に開かれた大学をめざして改革を推進する納谷学長に、成果と展望を聞いた。

大学を外から見つめる視点が必要

納谷廣美学長川目 2004年度に学長に就任された際、「外部評価に耐えうる大学」を掲げられました。どのような問題意識をお持ちだったのでしょうか。

納谷学長(以下納谷) 2004年といえば認証評価制度が導入された年ですが、私自身の問題意識として、学長になる以前から感じていたことがありました。本学の教職員は優秀な人ばかりですが、内向きの議論に終始し、外からどのように見られているのかという視点が足りないのではないか。社会の新しい動きに真正面から向き合い、明治大学はどのような存在であり、どこが強みで、何が足りないのかということを見つめ直す視点が必要であると考えました。

川目 具体的な改革プランはどのような内容だったのでしょうか。

納谷 教学運営体制の整備、教育体制の整備、研究体制の整備、大学の社会貢献の4つの柱を基本方針に掲げました。
 まず、教学運営体制の整備の点ですが、改革の推進に当たっては、意思決定を迅速にしなければいけません。当時の本学は、各学部の意思決定を学部教授会が行っていたため、全学的な改革を学長のトップダウンで進めることは不可能でした。本学は長年、理事長、総長、学長の3長制を敷いてきましたが、より機動的な意思決定ができるよう、2005年度に総長制を廃止し、実質的には、私が総長の職務内容を兼務するようにしました。2006年には、学長の指示の下に学内の課題を検討し、教学の重要事項を執行する副学長を置きました。
 このように、学内の重要事項に関するする議決権の集中化を図ったうえで、教育・研究にかかわる改革を加速させました。
 教育体制の整備では、文部科学省のGP事業への申請を奨励し、積極的な学部には集中的に資金を投入しています。また、地方の人材を集めるために、全学部統一入試を導入し、全国7都市(2010年度は8都市)で受験できるようにしました。
 研究体制の整備では、2005年に研究・知財戦略機構を設置し、その機構長として大学の顔となる研究について一元的に戦略を練る体制を整えました。
 社会貢献では、1999年に設置した「リバティアカデミー」という生涯学習機関をより充実させ、私自身がリバティアカデミー長に就任しました。本学の知的財産を広く地域に発信する取り組みを進めています。

川目 2007年度入試から3年連続で志願者が10万人を超え、GPの採択件数は2007年度に10件にもなりました。2008年度にはグローバルCOEプログラムに採択され、研究力の卓越性も示しました。改革の成果は顕著に表れているようです。

写真 納谷 何よりの成果は、教職員の意識を変革できたことだと思います。各学部が、「うかうかしていたら置いていかれる」という気持ちで主体的に改善に取り組みました。その結果、努力すれば実を結ぶということを実感し、さらなる改善に取り組むという好循環が生まれているのです。


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