実践!初年次教育講座

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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Case Study 大阪女学院大学

英語中心のカリキュラムで学ぶための
基礎力・意欲向上を支援

大阪女学院大学は、英語中心のカリキュラムでの学びを容易にするという視点に立ち、
初年次教育を行う。英語の基礎力の向上を図るとともに、
自己や将来を見つめさせる科目によって、学習意欲を高めようとしている。[取材/濱名氏]

英語力強化のために土台づくりの科目を導入

 大阪女学院大学・大阪女学院短大は、「社会に積極的に関わる人間の形成」をミッション・ステートメントに掲げ、英語を中心としたリベラルアーツ教育に力を注ぐ。1・2年次は教材の内容を重視しながら英語教育を徹底的に行い、3・4年次は専門領域を英語で学ぶ。この教育課程は、「英語を教育言語とする学士課程教育の展開」として、2007年度、特色GPに選定された。
 2008年度にカリキュラムを改編した際、特に意識したのは、大学と短大の学生の違いだ。大学・短大とも、カリキュラムは英語の比重が大きく、学生は“英語ざんまい”の学校生活を送る。大学は、第1志望ではない入学者の中に「英語を学びたい」という目的意識や英語の基礎力が十分でない学生も少なからずいる。「英語は本学の教育の要となるので、きちんと履修できるように手助けが必要と感じた」と、大阪女学院大学の智原哲郎学長代行は述べる。
 こうした現状をふまえ、2008年度、大学に初年次教育の科目を追加導入した。その一つは、英語スキルの土台を固める科目だ。「Grammar Essentials」では、文法の基礎を集中的に学ぶ。智原学長代行によると、近年は、比較的、英語力があっても文法に弱いという学生が増えたために、既存のGrammar科目に加えて、この科目を導入したという。動詞、名詞、形容詞や副詞の使用法などを復習し、毎時間、小テストを実施して定着を図る。例えば、“say”“tell”“speak”の違いなど、基礎力不足の学生が抱きやすい疑問を解消し、苦手意識をなくす。
 同様に、新たに設けた「English Essentials1・2」では、少人数のグループに分かれ、日常の出来事や大学生活について、英語で自由に会話する。英語で話すことに慣れさせ、ディスカッションやプレゼンテーションの学習にスムーズにつなげるのが目的だ。この科目は、単位は与えるが、評価点は付けない「パス・フェイル式」としている。
 授業以外の英語学習の支援にも力を入れる。その一つが「SASSC(サッシー)」という施設。教員や卒業生が常駐し、授業の予習・復習や英語での論文の書き方などを個別に指導する。他大学の博士課程留学生と会話ができるラウンジもある。長期休暇中には、1・2年次の希望者を対象に、学内で英語セミナー、学外で3泊4日の合宿を実施する(2008年度は1年次の希望者を対象に、学外で3泊4日の合宿のみ)。


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