岡山県立岡山一宮高校が高大連携に取り組み始めたのは、1999年度のことだ。この年、設置された理数科(2クラス80人)の生徒を対象に、年4、5回、岡山大学や岡山理科大学の教員を招いての授業を始めた。
高大連携が本格化したのは、理数科が文部科学省のSSHの指定(2002〜2004年度)を受けてからだ。岡山大学理学部と協議を重ね、生徒の大学訪問などを含む、より踏み込んだ連携協定を結んだ。
理数科のカリキュラムは、研究論文を仕上げる「課題研究I」、高校教員と大学教員による授業を組み合わせた「自然科学入門」、科学英語や科学史などを学ぶ「科学論文基礎」などで編成される。核となるのは課題研究で、その他の科目は、課題研究を進めるうえで必要な基礎力を養う科目と位置付けられている。
当時、自然科学入門(1年次必修)は授業形式での講演会だった。高大連携が今ほど活発ではなく、大学教員の多くは高校生向けの授業を経験していなかったため、事前のすり合わせが欠かせなかった。科目の導入に当たっては、高校教員が大学に出向いて授業のねらいを説明。高校生が理解できる授業にしてもらうため、高校の教科書を示して理解を求めた。
大学の講義を聴講する取り組み(3年次選択)も導入した。最初は、講義が難しくてついていけないという生徒も、2、3か月間受講するうちに、90分授業にも問題はなくなるという。
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