特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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Between レポート

卒業生の価値と パートナーシップの形


◎大学が、卒業生と双方向のコミュニケーションを図るべく、さまざまなアプローチを模索している。ステークホルダーとして、卒業生をどう位置付けるべきか。強固な関係を築くためには、どんな発想が求められるのか。ユニークな取り組み事例を交えて、考えてみたい。

コミュニケーションの 対象が多様化

 従来、多くの大学は、コミュニケーションの対象として、将来の顧客ともいうべき受験生を特に重視する傾向にあった。それが、開かれた大学という観点から地域や産業界に、さらに、顧客満足度向上という観点から学生に目を向けるようになった。卒業生重視の背景には、こうした多様なステークホルダーとのコミュニケーションに対する大学の意識の高まりがある。
 大学にとって卒業生は、次のようないくつもの側面を持つ。①教育成果を体現するブランドの核、②在学生のロールモデル、③教育サービス改善のための評価者、④大学の情報を伝えるメディア、⑤大学院入学等によるリピーター予備軍、⑥産学連携や地域連携における社会との窓口、⑦寄附や学生支援を通じた協力者、など。
 すなわち、卒業生は、学生、受験生およびその保護者、地域、産業界など、さまざまなステークホルダーの特性を併せ持ち、大学にとって特に重要な、財産ともいうべきステークホルダーだ。母校に愛着を感じれば、地域や職場でその魅力を語り、わが子に受験を勧め、機会があれば自分も再び母校で学ぼうと考える。母校に、地域や産業界の情報を提供することもあるだろう。
 このような形で卒業後も大学ファミリーの一員であり続ければ、卒業生を取り巻く家族、地域や産業界など、さまざまなつながりを包含して大学ファミリーは拡大を続ける。卒業生の共感と協力こそが、大学の永続的な発展を支えるといえよう。


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