特集

森下洋一

森下洋一

(もりした・よういち)
◎1957年、関西学院大学商学部卒業。松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)代表取締役社長、同代表取締役会長を経て2006年から同社相談役。2006年4月から2008年3月まで関西学院同窓会会長を務めた。2008年4月、関西学院理事長に就任。

大橋太朗

大橋太朗

(おおはし・たろう)
◎1962年、関西学院大学商学部卒業。阪急電鉄株式会社代表取締役社長、同代表取締役会長を経て、2005年から同社相談役。2008年4月、関西学院同窓会会長に就任。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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対談

同窓会がスクールモットーを実践し
母校との絆を強化


関西学院 理事長 森下洋一氏 ● 同窓会会長 大橋太朗氏

◎関西学院の同窓会規約には、「スクールモットーであるマスタリー・フォア・サービスの理念を社会で実践すること」という一文がある。大学と同窓会が「奉仕のための練達」という理念を共有してそれぞれの活動を展開し、時には共同することによって、大学の理念を社会に浸透させたいという思いが込められている。

普遍的な価値を持つ スクールモットー

大橋
 森下理事長が2006年から同窓会会長を務められた際、同窓会規約の総則に、「スクールモットーの社会における実践」を加えられました。同窓会は単に同窓会員の交流の場というだけではなく、「社会の公器」であり、同窓会員一人ひとりが志を高く持って行動しなければならないという示唆をいただきました。同窓会の長い歴史の中でも画期的なことだったと思います。
森下
 あらゆる組織において、その目的を明示することは、最も大切だと考えています。特に、本学院のように20万人を超える同窓会員を有する組織では、心を一つにするために、誰もが賛同できる理念が必要です。
 本学院には「マスタリー・フォア・サービス」という立派なスクールモットーがあるのですから、卒業生も、それぞれの立場や年齢に応じて、実践してほしいと考えました。同窓会の役員会や理事会においても、もろ手を挙げて賛成していただきました。
大橋
 ある地域の同窓会支部では、本学院の初等部キャンパスに通う児童の登下校に合わせて、交通整理をボランティアで行っています。また、別の支部では、地域の方々が参加できるイベントを催しています。このように徐々にではありますが「マスタリー・フォア・サービス」を実践する支部が増えてきており、いずれも、地域の方々に対して関西学院同窓会の活動を認知していただくとともに、つながりを深めるきっかけになっています。
森下
 卒業生はそれぞれに母校愛を持っていると思いますが、心の中にとどめるだけではなく、実際に行動に移すことが大切です。年齢や社会的な立場に応じた「身の丈に合った母校支援」を行うところから、「マスタリー・フォア・サービス」を実践していただきたいと思います。
大橋
 関西学院のスクールモットーは、社会に出て初めて実感できるものではないでしょうか。私が長年勤務した阪急電鉄では、入社当時から創業者・小林一三翁の掲げた「五戒」を頭に叩き込まれました。その一番目に、「吾々の享(う)くる幸福は、御乗客の賜なり」という言葉があります。サービス業である以上、お客さまに満足していただくことを常に考えなければならないということを、一三翁は創業時から説かれていました。これは、「マスタリー・フォア・サービス」の精神そのものです。
森下
 私も松下電器産業(現・パナソニック)で働いていた時は、松下幸之助氏の下で、「本業を通じた社会への貢献」という経営理念を徹底的に叩き込まれました。それが在学中に教え込まれたスクールモットーと相通じるものであることには、入社してずっと後に気付きました。社内における自分の地位が高くなり、責任が重くなるにつれて、より強く実感するようになりました。宗教的な理念も含めた深く広い意味が込められているからこそ、普遍的な精神として人々の根底に生き続けるのでしょう。同窓生同士、そして学院と同窓生を結ぶ上で、これ以上の理念はないと思います。

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