図１は、学生個人の達成度を評価する際の流れを示したものである。ある教育活動が終わり、Aという学生が到達目標以下の結果しか挙げられなかった場合、フォーカスの転換をして、なぜAはうまく成果を挙げられなかったかを見直そうとする。しかし、このアプローチは学生の達成度評価には使えても、教育プログラムの評価の方法にはならない。
　図２は、これまでの教育プログラムの評価の方法を、アメリカの初年次教育の代表的指導者であった（現在、American Institutional ResearchにてExecutive Directorを務める）ランディ・スウィング氏がまとめたものである。受講した科目の成果が目標に届かなかった場合、フォーカスの転換をして、その科目の内容や方法を見直そうとする。現在の日本の大学で一般的に行われている、授業評価に基づく授業内容や授業方法の見直しはこの方式かもしれない。
　しかし、こうした方法で教育プログラムの評価を行うのは妥当なのだろうか。仮に、日本の大学生が１学期に20単位履修すると、週1回の科目なら10科目。週複数回の科目が多少含まれていても、８科目以上は履修している。大学によっては複数科目から初年次教育を構成している場合もある。