実践!初年次教育講座

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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求められる「可視化」と これからの課題

 英語のTOEFL・TOEICのような統一テストやコンピュータ活用能力と比べて、初年次教育で何ができるようになったかというアウトカムを「可視化」することは容易ではない。しかし、入学直後の前期を中心に実施され、複数科目から構成されることも少なくない初年次教育プログラムは、汎用的な能力やスキルの育成に有効であり、学生の学びを記録するポートフォリオの活用などによって、プログラム全体を通じてどの程度身に付いたかという評価は可能である。
 また、評価の方法も筆記試験や最終レポートだけでなく、途中で行うグループワークの観察評価、ワークシートの提出、プレゼンテーション能力の評価や学生たちの相互評価も導入することは可能である。
 プログラム評価であれ、個人の達成度評価であれ、多元的評価を行うことが評価の信頼性向上の条件の一つである。初年次教育という教育プログラムの評価を高めていくためには、このような評価方法の多元化が求められる。さらに、各大学の初年次教育の達成目標を具体的な評価の観点(ルーブリック)に明示化し、何がどこまでできるようになれば、どのような点数として評価されるのかを、学生に対しても「可視化」することが必要である。
 一朝一夕には実現しにくいかもしれないが、初年次教育学会、他の大学団体、コンソーシアムでの研修やFDなどを通じて、ワークショップスタイルで「初年次教育の評価方法」を学んでいかれることをお勧めしたい。

*TOEFL・TOEICは、Educational Testing Service(ETS)の登録商標です。

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