さまざまな学習活動および課外活動が、５つの学習成果それぞれに大なり小なり影響を及ぼしていることはわかった。それでは、学習活動と課外活動とのバランスは、学習成果にどう影響しているのか。
　学生生活を大きく分けると、学業、クラブ活動、アルバイトの３つが考えられる。そこで、それぞれに費やす時間を基に「学業専念型」「オールマイティ型」「両立型（学業×クラブ活動もしくは学業×アルバイト）」「課外活動重視型」の４類型を設定し、それぞれの類型の学生が自己の成長をどのように評価しているのか分析した（図表２）。

　「専門的知識」「問題解決力」といったアカデミックな知識・能力に関しては、「課外活動重視型」以外、その力が「増えた」と自己評価する学生の割合はほとんど変わらない。一方、「コミュニケーション力」や「チームワーク」といった対人関係にかかわる能力については、類型間にばらつきが見られる。すなわち、学業だけでなく、クラブ活動やアルバイトに一定以上の時間を割いている学生（オールマイティ型）は、他のどの類型の学生よりもこの２つの対人関係能力が「増えた」と評価する学生の割合が高い。一方で「学業専念型」の学生は、この割合が最も低い。
　大学生として学業に専念することは非常に大切であるが、それだけに力を入れてしまうと、人間としての成長の幅を狭めてしまう可能性がある。だからといって、「大学生はクラブ活動もアルバイトもせよ」ということでは決してないが、学業と課外活動のバランスを保ち、幅広い他者との出会いと活動の場をつくることが、より「人間としての全体的な成長」につながるという従来の主張を、この結果は裏付けているといえる。