一般入試、推薦入試やAO入試など、一つの大学で複数の入学者選抜方式を実施するのはもはや当たり前の時代となった。近年では、学生の獲得競争の激化を背景に、さらに各入試方式が複線化。優秀な受験生を一人でも多く入学させるための施策が取られている。その中でも、学力に偏らない多面的な視点で選抜する推薦・AO入試などの「特別入試」は、現在まで拡大を続けてきた。
推薦入試は、1999年度入試では国公私立計583大学が実施した。その後も実施校は増え続け、2009年度入試では計715大学。実施率は、国公立大学で93.6%、私立大学では99.1%に上った。
この10年ほどで急速に拡大したのがAO入試である。大学のアドミッション・ポリシーと志願者の人物像とを照らし合わせ、一度きりの教科学力試験では評価しきれない高校での成績、学習態度や入学意欲、また特異な技能や能力を、志望理由書や面接などによって多面的に評価して合否を決める入試方式だ。
日本の大学でAO入試を初めて行ったのは慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部で、1990年度のことであった。その後、1994年度入試で立命館大学と松山大学が実施。私立大学の間で徐々に広まり、2000年度入試では71大学に増加した。同年度には東北大学や岩手県立大学などの国公立大学が初めて実施した影響もあり、以降、取り入れる大学が急速に増えた。2009年度入試では、国立43大学、公立22大学、私立458大学が実施。AO入試は、今や国立大学の5割、私立大学の7割以上が行うまでに普及した。 |