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大谷奨

おおたに・すすむ

1963年北海道生まれ。筑波大学大学院教育学研究科博士課程中退。摂南大学助教授、旭川医科大学助教授などを経て2006年から筑波大学人間総合科学研究科准教授としてアドミッションセンターに勤務。専門は教育制度学、特に中等教育制度史、大学入試制度論、学校設置者論など。


Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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[現状2]

「選抜の多様化」の視点に基づく
推薦・AO入試の総括


筑波大学アドミッションセンター准教授 大谷奨

「一般化」し、定着した「特別」選抜制度

 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスがAO入試を開始してから20年、東北大学、九州大学でAO入試、筑波大学でAC(アドミッションセンター)入試が導入されてから10年以上が経過した。2008年度には、私立大学において推薦・AO入試を経て入学する学生が過半を占め、国公立大学においても全体の15%程度を占めるようになった。今日、すでに推薦・AO入試といった特別選抜制度の存在を抜きに、大学入試制度について考えることはできない。
 昨今、一部の大学ではそのあり方が廃止も含め再検討されているが、単純に廃止するだけではもはや済まされなくなっている。取りやめによって、高校の教育現場やすでに推薦・AO入試で入学している学生にどのようなインパクトを与えることになるか、またその代替ルートをどう措置するかといった事項まで検討されなければならない。それほどまでに「特別」選抜制度が「一般化」しているという認識が重要である。


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