大学連携が生む 地域の活力
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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大学連携が生む 地域の活力

第2回

石川県内の高等教育機関が連携し
地域社会に求められる事業を推進

石川県は、人口10万人当たりの高等教育機関数が全国2位を誇る。
その県内すべての高等教育機関と自治体や企業団体が「大学コンソーシアム石川」を結成し、県全体の教育力の底上げと地域活性化を図っている。

高等教育機関が運営し県が費用などを支援

 石川県は、加賀藩の城下町として栄えた金沢市を中心に、歴史的に学問が盛んで文化的な蓄積も多い。現在は20の高等教育機関があり、人口10万人当たりの数は京都府に次いで全国2位だ。人口1000人当たりの学生数は4位。近年は、留学生募集に力を入れる大学が多いこともあり、人口10万人当たりの留学生数も5位である。

人口当たりの高等教育機関数と学生数(2008年度)

 しかし、少子化の影響は避けられない。県は、県内の大学が競い合うように学生を集めては、やがて疲弊してしまうのではないかという危機感を持った。各大学が個性を発揮しつつ連携し、県としての総合的な教育力や発信力を高めていくべきだと考え、1999年に「いしかわ大学連携促進協議会」を発足。まず短大間の単位互換事業を始めた。2003年には、参加校を県内の全高等教育機関に広げ、旧県庁舎新館内の教室で教員が教養教育の授業を行う「いしかわシティカレッジ」を開始。翌2004年度の現代GPに選定された。
 県は、連携のさらなる強化に加え、大学と地域社会を結びつけて地域活性化を図ることを目的として、2006年にいしかわ大学連携促進協議会を「大学コンソーシアム石川」に発展させ、運営主体を県から高等教育機関に移管した。初年度は旧県庁舎新館内に事務局を設置し、2007年度からは毎年約3000万円の予算を計上して事業を支援。2010年度には、県が20億円を投じて旧県庁舎本館を改装した「石川県政記念しいのき迎賓館」に事務局を移転。迎賓館には最先端のICT機器を持つ教室やセミナー室も備える。
 2008年度には、「大学コンソーシアム石川を中心とした共通の教養教育機関とICT教育支援体制の構築」事業が、文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に選定された。翌年、テレビ会議システムや「UCIポータル」などを導入してICT化を推進し、これをサポートする「e教育支援センター」も設置。このほかにも多様な活動を展開し、教育活動の充実と一層の地域活性化をめざしている。


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