DP策定に関して検討課題となるのは次の点である。愛媛大学の例から説明したい。
第一に、どの組織単位で実質的なDPの設定を行うかという点である。まず、全学としてのDPを定める必要があるかどうかについては、大学ごとに状況は異なる。規模が小さい、学部数が少ない、比較的専門分野が似通っているといった大学の場合は、「全学DP」を設定しやすい。
一方で、規模が大きく、学部数が多く、大きく異なる専門分野からなる学部を抱えている大学の場合、明確なDPを策定するのは困難である。愛媛大学では、各学部がDPを策定する段階で、全学としての統一性を保つために参照基準が欲しいという声があった。そこで、本学の「めざすべき人材像」が記述されている大学憲章等から、いくつかのキーワードを抜き出し、全学DPとして各学部に提示した。しかし、これはあくまでも「学部DP」を策定するためのツールであり、公表についてはいまだ検討が続いている。
同じ学部DPという名称であっても、学部によってその位置付けが異なる。例えば、1学科しか持たない農学部と独立性の強い複数学科を抱える工学部では学部DPの意味するものが異なり、後者においては「学科DP」がより実質的なものとして機能している(図表3)。 |