特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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企業のニーズと異なる今後、育成したい能力

  図表7は、23の汎用的な能力・スキルについて、大学側の指導状況を聞いた結果である。
  「特化した科目または既存の科目内で明示的に指導している」の選択率は、「ICTリテラシー/基本的なICT操作スキル」(82.4%)、「ICTリテラシー/情報処理スキル」(74.2%)で、ICTスキルが突出。次いで、日本語スキルにかかわる
「日本語のライティングスキル」「日本語のプレゼンテーションスキル」が高かった。
  図表2で見たとおり、企業側は「チームワーク力」「自己管理力」を重視している。企業が重視する能力と、大学教育で明示的に指導されている能力が合致していないことがわかる。

図表7:大学の正課内における汎用的な能力・スキルの指導状況[学部長調査]

 しかし、「意図して指導していないが、既存の授業の中で育成されている」の選択率の高い順に見ると、「継続的な学習力」「自己管理力」「創造力」「チームワーク力」と、企業側が望む能力が並ぶ。指導方法を明示してはいないが、企業側が重視する能力は、結果的に育成している、と大学側は認識しているようだ。
 英語にかかわる能力・スキルの中で「英語の討議力」と「英語のプレゼンテーションスキル」は、「特化した科目または既存の科目内で明示的に指導している」「意図して指導していないが、既存の授業の中で育成されている」と答えた割合が、いずれも低かった。
 今後、重視して育成していきたいと思う能力を5つ選んでもらったところ、「問題解決力」(58.2%)が最も高く、次いで「日本語ライティングスキル」(32.3%)、「日本語プレゼンテーションスキル」(30.4%)であり、企業のニーズと異なる。大学側も企業側も互いに重視する能力を発信し、まずは相互理解に努めることが必要ではないだろうか。


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