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わかなべ・こうじ

1998年東京農業大学卒業。企業の人事部門を経て2001年、人材開発を手がける (株)セルムに入社。2006年のグループ会社・(株)ファーストキャリア設立と同時に現職。企業や組織における若手人材の育成の支援に携わる。


Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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[求める力・育てる力 2]

「主体的な人材」の理解を通して探る
大学と企業の人材像共有のための視点


(株)ファーストキャリア代表取締役社長  若鍋孝司

「『主体的』に尽きる」企業「抽象的」と困惑する大学

 現在、企業が求める人材を一言で表すと、「主体的に考え、行動できる人材」である。主体的とは、目的や達成すべきゴールまでたどり着く、やり抜く主体がまさに自分であり、必死に何でも達成するという態度で物事に臨むことをいっている。「相手の気持ちを読み取って先回りする」「失敗を恐れず動く」「わからないことは自分から質問する」「教えてもらっていなくても自ら考え、行動する」などが、「主体的な行動」として認められることが多い。
 入社時点ではこれらができれば十分で、それ以外の「何ができるか」は、主体的な行動をする際の武器であるというのが、企業の認識だ。
 一方、大学側から見ると、企業が求める人材像がわからなくはないが「あまりに抽象的」かつ「大学としてはかかわれない領域ばかり」が提示されているように感じられるだろう。「主体的」とは「何を、どのようにする」ことなのか、何を身に付ければ「主体的」だと認められるのか、困惑しているという話を耳にする。

「主体的に行動できる人材」をめぐる葛藤

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