特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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理念と現実の溝を認め解決に向けて議論

 ここまで「主体的」という言葉をテーマに、企業、大学双方の立場からの意見と、それを見極める難しさ、育成の難しさについて述べてきた。これまで最も抜け落ちてきた「自分は『なぜ』『何のために』行動を起こしているのか」を考えさせるという視点を提示した。
 現在の学生は、机上の価値観テストや職業志向テストの結果を過剰に信じ込んでしまう。大学が、これらだけで就職活動の支援ができていると考えているなら、考え直さざるを得ない。企業も「主体的な」という抽象的な言葉をどれだけ振りかざしても何も伝わらない。
 企業は「主体的な学生が欲しい」、大学も「主体的な学生を育成したい」、学生自身も「主体的でありたい」と考えている。全員が「主体的」を重視しながらそうなっていない現状を認めたうえで、何のためにどんなことをするか、そのためにどんなスキルを身に付けるのか、具体的に議論する以外に解決策はない。
 現状について「誰のせいか、なぜそうなったのか」と議論しても、解決策は生まれない。企業と大学、学生が同じ目線で対話し、「なぜ、主体的な人材を育成する(主体的になる)必要があるのか」という視点に立ち返って、繰り返し議論していくのが最もよい解決策なのではないか。


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