特集
松高政

まつたか・まさし

法政大学大学院社会科学研究科修了。教育サービスの民間企業を経て現職。研究テーマは、学校から職業への移行、若者のキャリア形成・職業能力開発。「コーオプ教育推進ネットワーク」の全国的な組織化をめざし準備を進めている。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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[連携の形 1]

産学による目標設定と
プログラム開発で人材を育成するコーオプ教育


京都産業大学経営学部准教授 キャリア教育研究開発センター運営委員 松高政

就業体験と学びが有機的に融合

 学生の「学校から社会・職業への移行」が円滑に行われるために、大学と産業界が協働して人材育成に当たる意義は大きい。その具体策として、「コーオプ教育(Cooperative Education)」を中心に論じる。
  コーオプ教育は、日本ではあまり知られていないが、約100年前に北米で始まり、今や広く世界各国で展開されている、大学と産業界が連携した教育プログラムである。

コーオプ教育プログラム実践の主な要素

 コーオプ教育の教科書ともいえる「International Handbook for Cooperative Education」(WACE)では、次のように定義している。「教室での学習と、学生の学問上・職業上の目標に関係する分野での有益な職業体験とを統合する、組織化された教育戦略。学生、大学、企業の連携活動であり、当事者それぞれが固有の義務と責任を持つ」。就業体験と学校での学びを交互に行い、有機的に融合させることにより、学生の能力をスパイラル的にアップさせる教育プログラムである。
  カナダ全域の高等教育機関と日本企業による「日加コーオプ・プログラム」では、1992年から毎年10〜70人のカナダ人学生が、半年〜1年間、15企業(2009年度)で就業体験をしている。
  福井県にある従業員約600人の製造業の会社では、この10年間、社員教育のために、毎年、海外からの学生を受け入れている。コーオプ学生は、大学でしっかり勉強しており学ぶ意欲も高く、自分のキャリアについてもきちんと考えているため、社員にとって刺激が大きいという。


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