近年、観光関係の学部・学科の開設が活発である。2010年4月時点で、観光関係の学部・学科がある大学は43、入学定員は4877人にも上る。しかし、大学での教育が観光産業界からの人材面での需要に適切に対処できているとは到底言えない状況にある。実際、観光関係学部の卒業生のうち、観光関係分野に就職した者の割合は、2007年3月調査段階で約23%にとどまっている。
大学の観光教育を国際的に見ると、基本的に「人文・社会科学系」「地域づくり系」「ホスピタリティ系」「経営系」という4つの分野が存在する。日本では主に「地域づくり系」「ホスピタリティ系」の教育が行われており、観光を実学としてとらえ、経営について学ぶ「経営系」はアメリカなどに比べて大きく出遅れている。その結果、観光にかかわる人材について、大学側の供給と観光産業界の需要の間に大きなギャップが生じている。 |