特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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体験プログラムを企業と共同で企画

 「富大流人生設計支援プログラム」は、①インターンシップ(富山県インターンシップ推進協議会に参加し、2008年度以前から実施)、②事後の就業研修、③「14歳の挑戦」の指導ボランティアで構成されている。インターンシップは、3年次の夏休みに1〜2週間実施される選択科目。終了後、中学生を指導するための準備も兼ね、課外活動として、企業の担当者と大学の教職員からインターネット環境を利用した指導を受ける。業種への理解を深める問題を解いたり、ビジネスマナーを学ぶ就業研修だ。そして、同年秋に同じ企業で、中学生の就業体験をサポートする。インターンシップの受け入れ企業の約8割が、「14歳の挑戦」にも参加していることに着目した取り組みだ。
 中学生の支援にあたっては、指導ボランティアとは別に、受け入れ企業と共に体験プログラムを立案し、指導ボランティアの学生を指導するキャリアサポーターも組織する。2〜4年生のサポーターが、中学校と企業へのヒアリングによりそれぞれのニーズを把握。それを基に企画を立案し、指導ボランティアと細部のすり合わせを行いながら、プログラムとしてまとめる。2009年度は11人のサポーターが、「富大流人生設計支援プログラム」に参加する企業4社、中学校6校と連携してプログラムを実施した。
 ある金融機関からは、中学生の自主性を引き出してほしいという要望があり、金融商品やロゴマークを題材にしたクイズ、店内掲示用のポスターの作製を企画した。また、報道機関では、ニュースに興味を持たせるため、必要部分に関しての新聞のスクラップを課した。中学生にとって身近でない職業に対するイメージを描かせるために、中学生により近い世代の大学生の柔軟な発想が生かされた。
 これらのプログラムに基づき、学生の指導を受けながら仕事について学ぶことによって、中学生にとって職場体験がより密度の濃いものになる。学生との交流を通して、数年後の自分をイメージしてもらうということも期待できそうだ。
 キャリアサポートセンターの荒井明准教授は、「中学生にとっては、少し先の大人である学生との触れ合いが、高校進学の先にある将来像を思い描く機会になる。職場体験を通して学生の働きを見ることによって、それまで大学進学に関心のなかった中学生に進学意識が芽生えるようだ」と述べる。
 将来的には、「14歳の挑戦」で学生と接した中学生が富山大学に入学し、「14歳の挑戦」に再度参加して後輩のサポートにあたるという、就業体験の振り返りによる「循環」をめざしている。


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