特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「履修主義」から「修得主義」への転換

 大学は、学生が身に付けるべき力を明確化するとともに、その確実な修得を保証することが重要だ。私はかねがね「履修主義」から「修得主義」への転換を提言してきた。同じ学習内容であっても、5時間で修得できる者もいれば、1週間かかる者もいる。しかし、日本では、例えば小学校の場合、規定以上の授業を受ければ、内容が修得できていなくても自動的に進級していく。じっくり勉強すれば理解できるのに、せかされるためにわからないまま次に進まざるを得ないという子どもは多いのではないだろうか。
  したがって「履修主義」から、学習内容を理解できたことを確認して進級させる「修得主義」に転換する必要がある。すべての学校段階において徹底し、確実に力を付けさせたうえで先に進むしくみを、国を挙げてつくるべきだ。
  厳しく単位認定を行えば、卒業できない学生が増えるという危惧もある。確かに、特定の大学だけがこれを行ったのでは、成績評価が甘い大学に学生が流れてしまう可能性がある。それを防ぐには、すべての大学が一斉に、厳格な修得主義に基づく単位制度の実質化を進めなければならない。すべての大学が覚悟を持って学位の質保証に取り組むことが、社会からの信頼向上につながる。


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