特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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個性を打ち出すための社会や企業との対話

 大学と社会が理解し合うためには、日常的な「対話」を深める必要がある。日本は18歳で入学し、4年間で卒業することにこだわりすぎる。いったん卒業すれば、再び大学に足を踏み入れることはまれだ。欧米では、社会に出た後も必要に応じて大学に戻って勉強し、その知識を日常業務や新規事業に生かすことが当たり前に行われている。日常的に大学と社会がつながっているのだ。
  大学は年齢にかかわりなく、広く社会に門戸を開くべきだし、企業も必要に応じて社員が気兼ねなく大学に通える制度を整える必要がある。学生が企業と大学を自由に行き来できる環境をつくることが、生涯学び続ける力を底支えする。
  今後、各大学には、教育のプロセスに個性や特色を打ち出してもらいたい。中教審が学士力の参考指針を示したことで、大学の個性が奪われるという人もいるが、私はそうは思わない。あくまで参考指針であり、各大学がこれを基に、自学の個性や特色に応じたディプロマ・ポリシーを打ち出し、それを達成するために独自に教育のプロセスを工夫すべきである。教育のプロセスに個性や特色を反映させることにこそ、大学の真価・実力が問われる。社会や企業とどれだけ対話できているかが、その鍵になるだろう。

※図をクリックすると拡大します。 学士課程への入学者に占める25歳以上の者の割合(国際比較)

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