特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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求められているビジョンの発信

 ところが時は移り、大学の「見える化」が必要な時代になった。その主な原因は次のようなものである。

① 若年人口が急減して、個々の大学に学生を集める努力が要請されるようになった。
② 大学教育の質が落ちているのではないかという声が高まり、他方で大学の機能別分化が推進される中で、教育の質を保証する各大学の努力が不可欠になっており、質の保証には教育情報の公表が有効であるという考え方が出てきた。
③ 長い不況の下で企業や家計が耐乏を強いられているのに、大学はどのような経営をしているのかわからないという声が高まってきた。
④ 経済界において、新入社員にコミュニケーション力や応用力がないという不満が高まり、大学の教育内容に対して不信感が強まってきた。
⑤ 同世代の教育を熱心に行っている専門学校などと大学の違いを、大学自らが世の中に知らせる必要が出てきた。
⑥ 国立大学は、法人化により活動内容を国民に開示しなければならなくなった。
⑦ 国際交流が盛んになるにつれて、外国から日本の大学に留学しようと思っても、大学の内容がよくわからないという状況が増えてきた。
⑧ 世界的な動向として、企業をはじめとする組織の活動の透明化が進んでいる。

 いずれにしても、日本の大学にとって、自らのビジョンや活動内容を多くの人に伝えることが必須の時代がやってきたのである。大学の活動内容には教学と法人の両面があり、両方とも重要だが、ここでは教育情報の公表について考えてみよう。


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